家田 淳 プロフィール
オペラ、ミュージカルを中心に演出家・翻訳家・演技コーチとして幅広く活動中。洗足学園音楽大学ミュージカルコース 准教授。
13歳から18歳まで過ごしたアメリカで声楽を始め舞台経験を積む。国際基督教大学卒業。言語学専攻。在学中イギリス・エディンバラ大学に留学。
声楽をH. ハリントン、斎藤昌子、各氏に師事。RADA(英国王立演劇学校)元校長ニコラス・バーター、同校講師イラン・レイシェル、ローナ・マーシャルに演技を学ぶ。
国際会議運営会社、外資系PR会社などに勤務ののち、本格的に舞台の世界に入る。
二期会、新国立劇場ほか多数の主要オペラ公演においてリチャード・ジョーンズ、ヴィリー・デッカー、カロリーネ・グルーバー、グラハム・ヴィック他、世界的な演出家の演出助手を数多く務め、ラインドイツオペラ「ドン・ジョヴァンニ」(デュッセルドルフ)にも助手として参加。英ロイヤルオペラハウスJette Parker Young Artists Programmeで演出助手を務めつつ、同プログラム及びギルドホール音楽院オペラコースにて、オペラにおける演技指導法と歌手養成法全般について研修。
これまでの演出作品にアントネッロ「エウリディーチェ」(佐川吉男音楽賞受賞)、「カルメン」、「魔笛」、「コジ・ファン・トゥッテ」、 オーストリア・アイゼンシュタットにて「月の世界」、構成・台本・演出作品に兵庫県立芸術文化センター・ジルヴェスターコンサート、台本翻訳・訳詞・演出作品に「パジャマゲーム」「この森で、天使はバスを降りた」「スウィート・チャリティ」など。
近年はオリジナル作品の創作に力を入れ、フランス革命期のパリの実話に基づいたミュージカル「マリー=ガブリエルの自画像」、王子ホール主催公演「西山まりえの歴女楽vol.10」にて、ルネッサンスの作曲家カルロ・ジェズアルドのライフストーリーを綴る音楽朗読劇を発表。(共に脚本・演出)
オペラの英語字幕の製作者としても、東京二期会「魔弾の射手」「金閣寺」「蝶々夫人」「ルル」、神奈川県民ホール・グランドオペラ「カルメン」「トゥーランドット」、全国共同制作オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」「こうもり」他を担当、高い評価を得る。
2022年、台本英訳(英語歌詞の執筆)を担当した新作オペラ「ZEN」が金沢歌劇座にて初演された。
また、英ロイヤルオペラハウス「蝶々夫人」演出改訂プロジェクトに関わるなど、活動の幅を広げている。
演出
演出という仕事の最大の喜びは、作品を生かすと同時に、出演者と関わるスタッフ全員の才能を生かすエンジンとなれることです。
それぞれの人が能力を最大限に発揮して輝くことをいつも目標にしています。
イギリスの偉大な演出家、故サー・ピーター・ホールの言葉:
「私がもっとも喜びを感じる瞬間は、稽古の中で、グループ全体がインスピレーションを得る時である。俳優も、演出家も、関係者全員がお互いから力を得て、一緒に作業をすることによってそれぞれがより良い人間になり、思っていたよりも自分に感性があり、才能があると気づく。それはほとんどエクスタシーに近い感覚である。運が良ければ、一公演につき、二回か三回はそんな瞬間が訪れるのだ」
(ピーター・ホール自伝Peter Hallより)
演技指導・コーチング
現代のオペラやミュージカルにおいては、自ら積極的に役作りを行い、演出家と意見を交わしながら作品作りのプロセスに参加できる能力を持つパフォーマーが求められています。
楽譜と台本をもとに、人物分析と役作りを主体的に行うお手伝いをします。
私が演技教育に関わりたいと思ったきっかけは、デュッセルドルフの歌劇場ラインドイツオペラで演出助手をした時でした。演出家から作品全体と場面のコンセプトを聞いた歌手たちが、導線などにとらわれず、自由自在に動き回って演出コンセプトを具現化する様を目の当たりにして、日本でも歌手の自主性を高めるような演技訓練が必要だと痛感しました。その後、英ロイヤルオペラハウスのヤングアーティスツ・プログラムとギルドホール音楽院オペラコースにて、歌手の演技訓練に特化して研修しました。ロイヤルオペラハウスでは各種クラスに実際に参加し、公演の演出助手も務めながら学びました。(体験の詳細はブログの記事ご覧ください。)
現在は洗足学園音楽大学ミュージカルコースで教える他、ワークショップ、個人レッスンもリクエストベースで不定期に行なっています。
演技指導の手法は、自分自身がパフォーマーとしての勉強をしていた頃にイギリスの演劇学校RADAの先生方から学んだテクニックと考え方を基本としています。
翻訳
オペラ、ミュージカル、演劇の台本の翻訳、訳詞、字幕、稽古場通訳など、舞台にまつわる翻訳・通訳を幅広く手がけています。
文章の表面的な置き換えではなく、原文の中にある能動性とリズムを掘り起こし、別言語に置き換えることを心がけています。
舞台関係の翻訳は、そのセリフを話している人物として生きることと同じと考えます。