「夏の夜の夢」ほか舞台の映画館上映

「夏の夜の夢」ほか舞台の映画館上映

 来年の兵庫県立芸術文化センター佐渡裕プロデュースオペラの演目はブリテン作曲「夏の夜の夢」ですが、その本公演に先立つハイライトコンサートの台本を書かせていただいています。6月から書き始めて、現在第3稿にかかっているところ。

 このオペラシリーズでは数年前から、7月の本公演に先立って、作品の見どころや音楽を親しみやすい形で紹介するプレコンサートが4月頃に行われています。出演者は関西の若手歌手で、入場料はなんと500円。佐渡オペラはすっかりファンが定着していて毎年8公演が完売になるとのことですが、お客さんにオペラを身近に感じてもらうためのこんな努力が実を結んでいるせいもあるのかもしれません。今回は兵庫では珍しいイギリスものという事で声がかかりました。

 プレコンサートの台本で苦労したのは、オペラの登場人物が15人なのに、プレコンサートは予算の関係で5人の歌手しか出せないこと。結構複雑なストーリーと音楽のどこをどう取り上げるかを考えるのがなかなか大変でした。

 詳しい話はまた本番が近くなったらすることにして。参考のためもあり今週、ジュリー・テイモア監督「夏の夜の夢」(こちらはオペラではなくシェイクスピアの原作)を映画館で観てきました。昨年ニューヨークの劇場で上演された舞台作品を映像化したものです。


単純にライヴ上演を撮影した訳ではなく、映画化にあたり、4日間撮影クルーが舞台上に上がり込み、通常客席からは見えないアングルのショットも含めて撮影したとのこと。また映像用に俳優にも表情を普段より繊細にするなどの調整を要求したそうです。美術・小道具の使い方など随所にジュリー・テイモアらしさが溢れていてとても素敵でした。

 舞台作品の映画館上映としてはMETのライヴビューイングが定着していますが、METは演出が大味・中庸な傾向であまり満足したことがなく、個人的にMETより断然見応えがあるのが、イギリスの最近の演劇プロダクションを映画館で上映するNational Theatre Liveのシリーズ。今年は「欲望という名の列車」「二十日鼠と人間」「オセロー」「スカイライト」の4本を観ましたが、どれも演出、演技、舞台美術、衣装、すべてが素晴らしい。特に「二十日鼠と人間」は素晴らしすぎて2回観に行ってしまいました。

 

上質の舞台とはこういうものなのだという基準を確認できる舞台で、とにかく本当におすすめです。

2016年のラインナップで楽しみなのはベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」。イギリスでは即日完売だったらしい。そしてあの “War Horse”も上映されるようです。

http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2015/09/10.php