「セヴィリアの理髪師の結婚」終演

「セヴィリアの理髪師の結婚」終演

「セヴィリアの理髪師の結婚」2公演、大好評のうちに終演しました。

「オペラで大爆笑するなんて何年ぶり?」という声を沢山いただきました。

初演の反省をふまえて構成に手を入れたことで、「ロジーナの物語」という側面がより明確に出て、笑いと共に涙も誘うストーリーになったようです。

イタリア大使からも「イタリアでも上演できる」と大絶賛のお言葉をいただきました。

また是非再演を目指したいと思っています!

 

撮影:伊藤由岐


プログラムに書いた文章です

************************

 ボーマルシェの戯曲「フィガロの結婚」を初めて読んだ時から、これを部分的に抜き出してオペラ「フィガロの結婚」と比較しながら解説するコンサートをやってみたいと思っていました。「セヴィリアの理髪師の結婚」は、田尾下哲さんの提案に乗っかる形でその夢を飛躍させ、原作を基軸に「フィガロの結婚」と前作「セヴィリアの理髪師」をひとつの物語として上演する試みです。

 「フィガロの結婚」の伯爵夫人が3年前を回想する形で「セヴィリアの理髪師」を織り交ぜています。曲と曲の間の芝居部分には、レチタティーヴォではなく戯曲のセリフを凝縮して使用しています。オペラをご存知の方は、オペラのリブレットが戯曲にかなり忠実に書かれている事に新鮮な驚きを感じられることでしょう。

 オペラ化されるにあたって省かれてしまった戯曲のディテールもトリビア的に盛り込みました。例えばマルチェリーナと判事クルツィオ(原作ではブリドワゾン)のトンチンカンなやり取りは私が大好きなシーンで、当時公職にいた人間の堕落ぶりが面白おかしく揶揄されています。フィガロがセヴィリアで理髪師になるまでのいきさつに関する話は、ボーマルシェが自身の多彩な人生を引用している部分です。フランス革命前の封建社会の中にあって、ボーマルシェは生涯、ペンの力で社会にはびこる不正義に立ち向かっていった人でした。そんな時代背景と作者の自由闊達なスピリットも垣間見えるようにしたいと思いました。(フィガロはボーマルシェの分身と言われています)

 演出は田尾下さんが「フィガロの結婚」を、私が「セヴィリアの理髪師」を担当しました。作曲家が異なるこの二つのオペラは、音楽の様式が全く違うこともあり、世界観も変えています。初演から構成に少し手を入れて、二つの作品の行き来を増やしました。

 そしてこのプロジェクトの最大の魅力は、奇跡のようなキャストの面々、一人一人が繰り出すキャラクター!掛け値なしの情熱でがっつりと作品の創造に関わって下さった、音楽、美術衣裳、照明、演出助手、舞台監督、制作のプロダクションチームにも特別の感謝を捧げます。

  Sit back and enjoy!